アンゴル=モアでSTABO索具

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2009.10.28

+ 貴族文化とも美的感覚とも無縁ではあるが

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)(イーヴリン ウォー/Evelyn Waugh/小野寺 健)

予想以上におもしろかった。

終盤、道ならぬ恋に落ちた主人公に対して投げかけられた一言が、あとから俺にもくるものがあった。道ならぬなんちゃらには縁がないけれど。若いときにはたぶん楽しめなかった本だな。

「昨夜わたしが着いたとき、あなたは「コーデリアもかわいそうに。あんないい子だったのに、すっかり不器量な、信心だけのオールドミスになってしまって慈善事業にばかり打ちこんでいる」ってお思いにならなかった? 「挫折したな」って思った?」

ごまかしてすませられるような場合ではなかった。

「そう、たしかに思ったね」とわたしは言った。「しかし今はそれほどには思っていない」

「おもしろいわね」と彼女は言った。「それこそ、わたしがあなたとジューリアのことを考えていて、頭に浮かんだ言葉なのですもの。みんなで婆やの部屋にいたとき。「挫折した情熱だな」って、思ったの」

彼女はかすかに母親ゆずりの皮肉が感じられるおだやかな口調で言ったが、この言葉はその夜遅くなってからよみがえってきて、わたしを刺した。

[回想のブライズヘッド 下より引用]

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